贈り物をするとき、香典を包むとき、内祝を贈るとき──日本には場面ごとに異なる「表書き」があります。 「壽」「御祝」「内祝」「御霊前」「御仏前」「御見舞」「御中元」…と、数えると60種類以上。 この記事では、主要な表書きを場面別・宗教別にまとめた早見表として機能させ、必要なときにすぐに確認できるようにしました。 場面と宗教を選ぶだけで自動判定できる表書き判定ツールもご活用ください。
表書きとは?
表書きとは、祝儀袋・不祝儀袋・のし紙の水引上に書く言葉のことです。 贈答の目的を一言で表し、相手に贈り物の意味を伝える役割があります。
慶事の表書き一覧
慶事の書き方の詳細はご祝儀袋の書き方や結婚祝いの贈り方もご参照ください。のし紙の使い分けはのし紙の使い方で解説しています。
結婚関連
| 場面 | 表書き | 水引 | のし |
|---|---|---|---|
| 結婚祝い | 寿 / 御祝 | 紅白・金銀結び切り10本 | あり |
| 結婚内祝い | 内祝 | 紅白結び切り10本 | あり |
| 婚約祝い | 御婚約御祝 | 紅白結び切り | あり |
出産関連
| 場面 | 表書き | 水引 | のし |
|---|---|---|---|
| 出産祝い | 御祝 / 御出産御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 出産内祝い | 内祝 | 紅白蝶結び | あり |
| お七夜 | 御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| お宮参り | 御祝 / 初宮御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| お食い初め | 御祝 / 祝御食初 | 紅白蝶結び | あり |
成長・学業関連
| 場面 | 表書き | 水引 | のし |
|---|---|---|---|
| 七五三 | 御祝 / 七五三御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 入園祝い | 御入園御祝 / 御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 入学祝い | 御入学御祝 / 御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 卒業祝い | 御卒業御祝 / 御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 就職祝い | 御就職御祝 / 御祝 | 紅白蝶結び | あり |
成人・仕事関連
| 場面 | 表書き | 水引 | のし |
|---|---|---|---|
| 成人祝い | 御祝 / 御成人御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 昇進祝い | 御祝 / 御昇進御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 栄転祝い | 御栄転御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 退職・定年 | 御祝 / 御退職御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 開業・開店祝い | 御祝 / 祝御開業 | 紅白蝶結び | あり |
新築・引越し・長寿
| 場面 | 表書き | 水引 | のし |
|---|---|---|---|
| 新築祝い | 御新築御祝 / 御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 引越し祝い | 御引越御祝 / 御祝 | 紅白蝶結び | あり |
| 還暦祝い(60歳) | 寿 / 御祝 / 祝還暦 | 紅白・金銀蝶結び | あり |
| 古希祝い(70歳) | 寿 / 祝古希 | 紅白・金銀蝶結び | あり |
| 喜寿祝い(77歳) | 寿 / 祝喜寿 | 紅白・金銀蝶結び | あり |
| 傘寿(80歳)・米寿(88歳)・卒寿(90歳)・白寿(99歳) | 寿 / 祝○○ | 紅白・金銀蝶結び | あり |
弔事の表書き一覧
弔事の書き方の詳細は香典袋の書き方で解説しています。御霊前と御仏前の使い分けについては御霊前と御仏前の違いをご参照ください。
仏式(浄土真宗以外)
| 場面 | 表書き | 水引 | 墨 |
|---|---|---|---|
| 通夜・葬儀 | 御霊前 / 御香典 | 黒白結び切り | 薄墨 |
| 四十九日 | 御仏前 | 黒白結び切り | 濃墨 |
| 一周忌以降の法事 | 御仏前 / 御供 | 黒白・黄白結び切り | 濃墨 |
浄土真宗
| 場面 | 表書き | 水引 | 墨 |
|---|---|---|---|
| 通夜・葬儀・法事(すべて) | 御仏前 | 黒白結び切り | 薄墨(通夜・葬儀)/ 濃墨(以降) |
神式
| 場面 | 表書き | 水引 | 墨 |
|---|---|---|---|
| 通夜祭・葬場祭 | 御玉串料 / 御神前 / 御榊料 | 黒白結び切り | 薄墨 |
| 五十日祭以降 | 御玉串料 | 黒白結び切り | 濃墨 |
キリスト教(カトリック・プロテスタント)
| 場面 | 表書き | 水引 | 墨 |
|---|---|---|---|
| カトリック(通夜・葬儀) | 御花料 / 御ミサ料 | 黒白結び切り(または白封筒) | 薄墨 / 濃墨 |
| プロテスタント(通夜・葬儀) | 御花料 / 献花料 | 黒白結び切り(または白封筒) | 薄墨 / 濃墨 |
香典返し
| 場面 | 表書き | 水引 |
|---|---|---|
| 仏式の香典返し(全国) | 志 | 黒白・黄白結び切り |
| 仏式の香典返し(関西) | 満中陰志 | 黄白結び切り |
| 神式の香典返し | 偲び草 | 黒白結び切り |
| キリスト教 | 偲び草 / 志 | 黒白結び切り |
お見舞いの表書き
| 場面 | 表書き | 水引 | のし |
|---|---|---|---|
| 病気・怪我のお見舞い | 御見舞 / お見舞い | 紅白結び切り(または白封筒) | なし |
| 災害見舞い | 御見舞 / 災害御見舞 | なし(白封筒) | なし |
| 快気祝い(お返し) | 快気祝 / 内祝 | 紅白結び切り | あり |
贈答の表書き
| 場面 | 表書き | 水引 | のし |
|---|---|---|---|
| お中元(7月) | 御中元 | 紅白蝶結び | あり |
| お中元時期後 | 暑中御見舞 / 残暑御見舞 | 紅白蝶結び | あり |
| お歳暮(12月) | 御歳暮 | 紅白蝶結び | あり |
| お歳暮時期後 | 御年賀(1/1〜1/7)/ 寒中御見舞(1/8〜2/4) | 紅白蝶結び | あり |
| お礼 | 御礼 / 感謝 | 紅白蝶結び | あり |
| ご挨拶・手土産 | 御挨拶 / 粗品 | 紅白蝶結び | あり |
| 寸志・餞別 | 寸志 / 御餞別 | 紅白蝶結び | あり |
数字・金額の旧漢数字
中袋や奉書紙に金額を書く場合、旧漢数字(大字)で記入するのが伝統的なマナーです。数字を書き換えにくくする改竄防止の意味があります。
| 算用数字 | 旧漢数字 | 記入例 |
|---|---|---|
| 1 | 壱 | 金壱萬圓也(10,000円) |
| 2 | 弐 | 金弐萬圓也(20,000円) |
| 3 | 参 | 金参萬圓也(30,000円) |
| 5 | 伍 | 金伍仟圓也(5,000円) |
| 7 | 七 | 金七萬圓也(70,000円) |
| 10 | 拾 | 金拾萬圓也(100,000円) |
| 千 | 仟(阡) | 金伍仟圓也 |
| 万 | 萬 | 金参萬圓也 |
| 円 | 圓 | 金壱萬圓也 |
「金」は冒頭、「也」は末尾に付けるのが正式です。「也」は「これ以上端数がない」ことを示す終止符で、省略しても問題ありません。 現代の中袋には印刷済みの記入欄(算用数字で記入する欄)が設けられていることもあり、その場合は欄の指示に従って記入します。
よくある表書きの組み合わせを場面別に覚える
人生の節目(ライフイベント)
- 誕生・出産: 御出産御祝 / 御祝(紅白蝶結び)
- お七夜・お宮参り・お食い初め: 御祝(紅白蝶結び)
- 七五三: 御祝 / 七五三御祝(紅白蝶結び)
- 入学・卒業・就職: 御入学御祝 / 御卒業御祝 / 御就職御祝(紅白蝶結び)
- 成人・結婚: 御祝 / 寿(結婚のみ紅白結び切り10本)
- 還暦以降の長寿: 寿 / 祝還暦・祝古希等(紅白・金銀蝶結び)
季節・時候の贈答
- 1月上旬: 御年賀(紅白蝶結び)
- 1月下旬〜2月: 寒中御見舞(紅白蝶結び)
- 7月上旬〜中旬(関東): 御中元(紅白蝶結び)
- 立秋〜8月末: 暑中御見舞 / 残暑御見舞(紅白蝶結び)
- 12月上旬〜20日: 御歳暮(紅白蝶結び)
ビジネスシーン
- 取引先への訪問・挨拶: 御挨拶 / 粗品(紅白蝶結び)
- 取引先への謝礼: 御礼 / 感謝(紅白蝶結び)
- 社員への謝礼: 寸志 / 御餞別(紅白蝶結び)
- 退職・定年: 御餞別 / 寿(紅白蝶結び)
- 独立・開業祝い: 御祝 / 祝御開業(紅白蝶結び)
- 昇進・栄転: 御昇進御祝 / 御栄転御祝(紅白蝶結び)
知っておくと安心:表書きにまつわる豆知識
なぜ「寿」は結婚だけでなく長寿祝いにも使う?
「寿」は「長く喜ばしいこと」を意味する字で、結婚・長寿・出産・お正月など多くの慶事に汎用的に使える表書きです。 特に結婚と長寿祝いでは、人生の大きな節目を象徴する言葉として「寿」が選ばれます。結婚式の鏡餅や長寿祝いのちゃんちゃんこなど、装飾にも「寿」の字が使われます。
「内祝い」の本来の意味
「内祝い」は本来「自家のお祝いごとを内々で祝う」という意味で、身内でのお祝いのおすそ分けという位置づけでした。 そこから転じて現代では「いただいたお祝いへのお返し」という意味で定着しています。結婚内祝い・出産内祝いなど、いずれも「お返し」の意味で使われるのが現代の一般的な理解です。
仏教と神道・キリスト教で弔事の考え方が違う
仏教では「四十九日」を境に故人が仏になるという考え方があり、表書きも「御霊前」→「御仏前」と変わります。 神道では「霊璽(れいじ)」に御霊を移す「五十日祭」が節目となり、表書きは「御玉串料」で統一されます。 キリスト教では「記念式」「追悼ミサ」の概念で、時期による表書きの変化はなく、一貫して「御花料」を使います。
表書きの書き方のルール
表書きを書く際の基本ルールを整理します。
- 毛筆または筆ペン(濃墨、弔事の通夜・葬儀は薄墨)で書く
- 楷書でしっかりと書き、行書・崩し字は避ける
- 水引の上中央に書く
- 文字の大きさは水引からはみ出さない程度に、しっかりとした大きさで
- 名前は水引の下中央に、表書きよりやや小さめの文字で書く
- ボールペン・サインペンは略式にあたるため正式な場では避ける
具体的な事例で確認する
事例1:退職する上司へ記念品を贈るケース
表書きは「御餞別」または「御祝」。定年退職の場合は「寿」も使えます。紅白蝶結びの水引、のし付き。送別会での贈呈なら5千〜1万円程度のプレゼントが定番。複数名連名の場合は「○○部一同」と書きます。
事例2:会社の昇進祝い(上司の昇進)
「御昇進御祝」または「御祝」。紅白蝶結び、のし付き。個人で贈る場合は5千〜1万円、部署で贈る場合は1〜3万円が相場。お祝いの品は仕事で使える高級文具・時計・お酒などが人気。
事例3:家を新築した友人へのお祝い
「御新築御祝」または「御祝」。紅白蝶結び、のし付き。相場は1〜3万円。現金または観葉植物・家電・キッチン用品などのプレゼントも喜ばれます。新築祝いは引越し後1〜2ヶ月以内に贈るのが理想。
よくある質問(FAQ)
Q. 「寸志」と「粗品」の違いは?
A. 寸志(すんし)は目上の人から目下の人へ、また会社から社員への少額の金銭謝礼。粗品(そしな)は謙譲表現で、相手への贈り物を指します。一般の贈答では「粗品」か「御挨拶」が無難です。
Q. 会社から社員への慶弔金の表書きは?
A. 慶事は「御祝」、結婚は「御結婚御祝」、出産は「御出産御祝」、弔事は「御香典」または「御霊前」を使います。法人名義の場合、金額も会社規定に従います。
Q. 葬儀に行かずに後日香典を渡すときの表書きは?
A. 四十九日以降であれば「御仏前」、それ以前であれば「御霊前」。受け取る側の宗派に合わせます。
Q. 海外からの贈り物ののし紙は?
A. 日本の伝統的なのし紙をかけても問題ありません。英文メッセージカードと併用するスタイルも現代的。相手が日本の贈答文化を理解していれば、通常ののし紙で問題ありません。
Q. ビジネスシーンの「御挨拶」と「御礼」の使い分けは?
A. 「御挨拶」は初対面・引越しなどの挨拶回り、「御礼」はすでに受けた恩への感謝。転勤で挨拶回りするなら「御挨拶」、取引先への年末のお礼なら「御礼」が適切。
Q. のし紙の表書きと品物のタグは統一すべき?
A. のし紙は贈答の形式、品物のタグは商品説明で別物。のし紙の表書きは「御祝」「御中元」などの慣用句を使い、品物タグは商品名のままで問題ありません。
Q. 自分で手書きするときのコツは?
A. 筆ペンで楷書で書く。文字のバランスを取るため、鉛筆で下書きしてから上から書くとキレイに仕上がります。不安な場合は百貨店の包装サービスで代筆を依頼すると安心です。
まとめ
表書きは「慶事=紅白・蝶結び(何度でも)/ 結び切り(一度きり)」「弔事=黒白・結び切り」が基本構造。 具体的な場面の表書きを知りたいときは、本サイトの「表書き判定ツール」でカテゴリと場面を選ぶだけで判定できます。
参考情報
- 一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会
- 当サイトの情報は、上記および複数のマナー書籍・百貨店の包装ガイド・仏教/神道/キリスト教各団体の公開情報を参考に作成しています。
- 地域・宗派・家庭の慣習により異なる場合がありますので、判断に迷った場合は身近な方や専門家にご確認ください。