故人が亡くなって四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆を「初盆」または「新盆」と呼びます。 通常のお盆は家族だけで静かに先祖を迎えますが、初盆は僧侶を招いて法要を営み、親族や故人と親しかった人を招くことが多い特別な行事です。 招かれた側は香典(御仏前)を持参するのがマナーですが、「いくら包めばいいのか」「表書きは御霊前と御仏前のどちらか」で迷う人がとても多い場面でもあります。 この記事では初盆の香典相場を関係性別にまとめ、表書き・お札・御提灯代・服装のマナーまで整理しました。 条件を選んで金額だけ先に確認したい場合は香典金額ナビもご利用ください。
初盆・新盆とは?2026年はいつ?
初盆(新盆)は、四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆のことです。「初盆」は主に西日本、「新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)」は主に東日本で使われる呼び方で、意味は同じです。
2026年のお盆期間は、全国的に多い月遅れ盆で8月13日(木)〜16日(日)、東京・横浜など一部地域の七月盆で7月13日(月)〜16日(木)です。
注意したいのは、亡くなってから四十九日が経過する前にお盆が来る場合は、初盆は翌年に繰り越すという点です。 たとえば2026年7月に亡くなった場合、四十九日はお盆より後になるため、初盆は2027年のお盆になります。 四十九日がいつになるかは法事カレンダー(年忌法要の自動計算ツール)で命日を入れるだけで確認できます。
初盆の香典相場 早見表
初盆の香典は、通夜・葬儀の香典より一段控えめの金額が目安です。法要後の会食(お斎)に参加する場合は、料理代への配慮として5,000円〜1万円を上乗せします。
| 故人との関係 | 香典のみ | 会食に参加する場合 |
|---|---|---|
| 親(実父母・義父母) | 1〜3万円 | 2〜5万円 |
| 兄弟姉妹 | 1〜3万円 | 2〜3万円 |
| 祖父母 | 5千〜1万円 | 1〜3万円 |
| おじ・おば・その他親族 | 5千〜1万円 | 1〜2万円 |
| 友人・知人 | 5千〜1万円 | 1〜2万円 |
| ご近所・仕事関係 | 3千〜5千円 | —(会食に招かれることは稀) |
※ 金額相場は、一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会の調査データおよび複数のマナー書籍を参考に作成しています。地域や家庭の慣習により異なる場合がありますので、迷った場合は身近な方に確認されることをおすすめします。
夫婦で招かれた場合は1.5〜2倍が目安です。たとえば友人の初盆に夫婦で会食まで参加するなら、2〜3万円にまとめるのが自然です。 4・9のつく金額(4千円・9千円など)は「死」「苦」を連想させるため避けます。
表書きは「御仏前」。御霊前は使わない
初盆の香典で最も間違えやすいのが表書きです。「御霊前」は四十九日の忌明け前に使う表書きで、初盆は必ず忌明け後に行われるため、「御仏前」または「御供物料」と書くのが正解です。 御霊前と御仏前の考え方の違いは御霊前と御仏前の違いで詳しく解説しています。
- 表書き: 「御仏前」(浄土真宗も同じ)。神式の場合は「御玉串料」、お供え物として贈る場合は「御供物料」。
- 墨の色: 薄墨ではなく通常の濃墨で書きます。薄墨は「涙で墨が薄まった」という通夜・葬儀の表現で、四十九日後の法要には使いません。
- 水引: 黒白または双銀の結び切り。関西など一部地域では黄白の水引を使います。
- お札: 新札は避け、使用感のあるお札を裏向きに入れます。中袋の金額は「金壱萬圓也」のように旧漢数字で記入します。
香典袋の書き方全般(名前の位置・中袋・連名のルール)は香典袋の書き方を、場面別の表書きの選び方は表書き判定ツールをご参照ください。
御提灯代(提灯代)とは
初盆では、故人の霊が初めて帰ってくる際の目印として白提灯を飾る風習があります。 かつては親族が提灯そのものを贈っていましたが、現在は飾る場所や好みの問題から、現金を「御提灯代」として包む形が主流です。
御提灯代の目安は、故人の子・兄弟姉妹など近い親族で1〜2万円、その他の親族で3千〜1万円程度。 香典(御仏前)とは別の袋に「御提灯代」と表書きして包みます。親族間で贈る・贈らないの慣習が分かれるため、事前に他の親族と足並みをそろえておくと安心です。
お供え物を持参する場合
香典の代わりに、またはプラスしてお供え物を持参する場合は、3千〜5千円程度の消え物(お菓子・果物・線香・ろうそく)が定番です。 日持ちする個包装のお菓子は、法要後に参列者へ分けやすく喜ばれます。 掛け紙(のし紙)は黒白または黄白の結び切りで「御供」と表書きします。掛け紙の選び方はのし紙の使い方ガイドで確認できます。
初盆法要の服装
案内状に「平服でお越しください」とあれば、地味な色のスーツ・ワンピース(ダークグレー・紺・黒)で参列します。 指定がない場合は略喪服(ブラックスーツ・黒ワンピース)が無難です。 真夏の行事のため、男性は上着を手に持ち会場で着用する形でも問題ありません。女性は肌の露出を抑え、光沢のあるアクセサリーは避けます。 詳しくは葬儀・法要の服装マナーも参考にしてください。
参列できない場合の対応
遠方などで参列できない場合は、香典を現金書留で送るか、お供え物を配送する方法があります。 現金書留で送る場合は「御仏前」と表書きした香典袋ごと封入し、お悔やみと参列できないお詫びを書いた手紙を添えます。 法要の前日までに届くよう手配するのがマナーです。
初盆を迎える側(施主)の準備
逆に自分の家が初盆を迎える場合は、お盆の1〜2ヶ月前から準備を始めると余裕をもって進められます。 主な準備は次のとおりです。
- 僧侶への依頼: お盆は寺院の繁忙期のため、読経の依頼は1〜2ヶ月前までに。お布施は3〜5万円が目安で、御車代・御膳料(各5千〜1万円)を別途包みます。
- 白提灯・盆棚の用意: 白提灯は初盆だけのもので、使用後はお焚き上げまたは形だけ燃やして処分します。絵柄入りの盆提灯は翌年以降も使えます。
- 案内と会食の手配: 招く範囲を決めて連絡し、会食(お斎)または仕出し弁当を人数分手配します。
- 返礼品(初盆返し): いただく香典の3分の1〜半額を目安に、そうめん・お茶・タオルなど1,000〜3,000円程度の消え物を人数分用意しておくと当日慌てません。
法要全体の段取り・案内状の文面は法事・法要の準備ガイドで詳しく解説しています。
地域による違いに注意
初盆のマナーは地域差が大きい行事です。参列前に確認しておきたい代表的な違いを挙げます。
- 時期の違い: 東京・横浜・金沢の旧市街などは7月盆、全国の大半は8月の月遅れ盆。同じ県内でも地区によって分かれることがあります。
- 水引の色: 関西・北陸の一部では黒白ではなく黄白の水引を使うのが一般的です。
- 提灯の風習: 提灯を現物で贈る地域、御提灯代として現金で包む地域、施主側がすべて用意する地域があります。
- 盆行事の規模: 長崎の精霊流し、京都の五山送り火のように地域全体で初盆を送る風習がある土地では、一般的なマナーと異なる場合があります。
迷ったときは、その地域の親族か施主側に「どのような形でお包みすればよいか」を率直に確認するのが最も確実で、失礼にもあたりません。
よくある質問(FAQ)
Q. 初盆と新盆はどう違うのですか?
A. 意味は同じで、呼び方の地域差です。「初盆(はつぼん)」は西日本で、「新盆(にいぼん・しんぼん・あらぼん)」は東日本で主に使われます。どちらも四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆を指します。
Q. 初盆の香典の表書きに「御霊前」と書いてもいいですか?
A. 御霊前は使いません。御霊前は四十九日前の表書きで、初盆は必ず四十九日の忌明け後に行われるため「御仏前」が正解です。宗派を問わず御仏前で問題ありません(神式は「御玉串料」)。
Q. 初盆の香典は薄墨で書くべきですか?
A. 薄墨は使わず、通常の濃い墨で書きます。薄墨は「突然の訃報に涙で墨が薄まった」ことを表す通夜・葬儀のマナーで、日程が事前に分かっている初盆法要には当てはまりません。
Q. 親族の初盆に夫婦で会食まで参加します。いくら包めばいいですか?
A. 香典1〜2万円に夫婦2人分の会食への配慮(1〜2万円)を加え、合計2〜3万円が目安です。表書きは夫のフルネームを中央に書き、左に妻の名前を添えます。御提灯代を別途包む場合は、その分香典を控えめにしても構いません。
Q. 初盆の香典にもお返し(香典返し)はありますか?
A. あります。施主側は「初盆返し」として、いただいた金額の3分の1〜半額程度の品(そうめん・お茶・タオルなど)を当日の引き物または後日の配送でお返しするのが一般的です。詳しくは香典返しの完全ガイドをご覧ください。
まとめ
初盆の香典は「通夜・葬儀より一段控えめ、会食に出るなら上乗せ」が基本で、友人なら5千〜1万円、親族なら1〜3万円が目安です。 表書きは御霊前ではなく「御仏前」、墨は濃墨、と通夜・葬儀とはマナーが変わる点に注意してください。 金額に迷ったら香典金額ナビで関係性と年代を選ぶだけで目安を確認できます。
参考情報
- 一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会
- 当サイトの情報は、上記および複数のマナー書籍・葬儀社の公開情報を参考に作成しています。
- 地域・宗派・家庭の慣習により異なる場合がありますので、判断に迷った場合は身近な方や専門家にご確認ください。